Mirai Translate TECH BLOG

株式会社みらい翻訳のテックブログ

みらい翻訳一年目を読書記録でふりかえる

この記事は、みらい翻訳 Advent Calendar 2022 の22日目です。

 

みらい翻訳で機械翻訳エンジン研究開発チームのエンジニアリングマネージャーをしている西山です。社内ではlisaと呼ばれてます。

みらい翻訳には今年の1月に入社したので、おかげさまで最初の1年が終わろうとしています。なお、入社2週間後に書いた、いわゆる「入社エントリ」はこちらです*1:

www.wantedly.com

1年間、思い返すと色々ありました(走馬灯タイム)。lisaというニックネームにも、「ジョインする」という表現にも慣れました。SageMakerの使い方を間違えて17ドル払う羽目にもなりました。

また、新しい仕事や環境に少しでも早く慣れようと、本をよく読んだ1年でもありました。今日は読書メモの中からいくつか今年読んだ本を紹介しつつ、みらい翻訳での1年を振り返っていきたいと思います。

初めての管理職

入社エントリにも書いたように会社員を15年くらいやっていますが、今のエンジニアリングマネージャーが初の管理職ポジションです。

以前の会社でもいわゆる「テックリード」や「チームリーダー」のようなポジションに就かせていただいてはいたのですが、マネージャーとして名実ともにチームの管理が仕事になり、人事評価や採用にも責任を持つ立場になったことは、自分にとっては大きな違いでした。

そんな中で、「エンジニアのためのマネジメントキャリアパス」は複数回、目を通しました。最初に読んだ時はなんだかピンと来ず、「ふーん、そういうものか」というくらいの感想だったのですが(すみません)、何度か読み返すと、マネジメントに必要なことがコンパクトにまとめられている印象を持ちます。

例えば4章「人の管理」には、1on1のやり方をはじめとした、チームメンバーとのコミュニケーションの仕方や、フィードバックの仕方、そして人事評価の注意点といった、いわゆるファーストラインマネージャー(部下に管理職がいない、組織の1階層目のマネージャー)に必要な仕事がまとめられています。

また、この本の特徴的なところは、「マネジメントキャリアパス」というタイトルからも分かるようにファーストラインマネージャーだけで終わらない、セカンドライン以上のマネージャー(組織の2階層目以上のマネージャー)や、CEO/CTO/VPoEといった役員職の役割についても言及されている点です。自分のキャリアパスを考える助けになるだけでなく、自分の身の回りの「マネージャー」と呼ばれる人たちを理解する助けにもなると思います。

 

これに対して、今年オライリーから出版されたばかりの「エンジニアリングマネージャーのしごと」は、組織マネジメントの教科書として広く知られているHIGH OUTPUT MANAGEMENTなどを引用しながら、ファーストラインマネージャーとしてのエンジニアリングマネージャーの役割をより具体的に書いた本だと思いました。

個人的には3章の「責任委譲は『部下に丸投げ or 全部自分でやる』ではなく、業務の内容や部下に応じた段階がある」という話が勉強になりました。

また、「上司には週に1回、チームの進捗 (Progress)、問題 (Problems)、計画 (Plans)、人 (People: チームメンバーの状態)を共有しよう」という話も参考にしたいと思いました。しかし、よく見たら部内で毎月実施している振り返りノートが既にこれに近いフォーマットになっていたことに気づき、「なるほど」と思ったものです。

 

また、書籍ではないのですが、主に自分で自分に課した責任のせいでやや疲れ気味になっていたところにこの記事が出て、タイミングに少し驚きました。

たとえば、次のようなことはないだろうか。他人のニーズにはよく注意を払うが、自分のニーズをおろそかにしている。 他人がやらなければならないことを頻繁に思い出させ、彼らが無責任に見えて腹を立てることがある。何かを頼まれたら基本的に「イエス」と答えるが、その後に怒りを覚える。何かがうまくいかないと、その重圧をすべて自分のものと感じる。思い当たるものがあるなら、責任感が過剰であることのサインかもしれない。

大体思い当たるので、持続可能な仕事にするために、適切な権限委譲を身につけていきたいものです。

※リンク先2ページ目以降の閲覧は会員登録が必要です。

dhbr.diamond.jp

初めてのSaaSビジネス

管理職だけではなく、SaaSビジネスに関わるのも初めてのことでした。みらい翻訳は3社目で、これまでの会社では自然言語処理をはじめとするAI技術の研究開発や、企業内DXでの活用に取り組んで来ましたが、みらい翻訳のようにSaaSビジネスを主軸とする会社には勤めたことがありませんでした。

まずはマーケティングと営業の仕組みを理解しよう、と読んだのが「THE MODEL」です。これを読んでからCRO (Chief Revenue Officer) の話が3割増で分かるようになりました(個人の感想です)。

 

プロダクトマネジメントも残念ながらあまり詳しくない領域です。こちらも、まずは良く知られた教科書であるINSPIREDから読むことにしました。

 

しかし、当社が作っているAIプロダクトが抱える技術的不確実性(言い換えると、想定されるデータからどの程度の推論結果が出せるか企画段階ではわからないために、そのAIをどのようにプロダクトに組み込むべきか自明でないこと)をどう扱うか、という議論は、プロダクトマネジメントの書籍でもまだあまり取り扱われていないように思います*2

社内でそのような話をしていた時に教えていただいたのが「Product Management for AI」です。「AIプロダクトは不確実性が高いので『いつまでに何を作る』を決めるのが難しい、ということを受け入れた上で、まずはなるべくシンプルな手法から始めて、アジャイルに開発を進めていく必要がある」という話は、これまでAIプロジェクトに携わってきた私からは同意しかなかったですし、「AIの開発にはこのように時間と人員の投資が必要なものなので、闇雲にあれこれ手を付けるのではなく、きちんとROIの高い少数のアイテムを優先づけた上で取り組むべきである」という話は、R&D部門のマネージャーとして改めて考えさせられるものでした。

www.oreilly.com

番外編: いま読んでいる本

このように今年色々読んできましたが、いま読んでいるのは「Dancing on Ropes」という、歴史上重要な場面で適切な訳(※この判断が難しい)を選ぶことに苦労してきた翻訳者たちの物語です。まだ1章しか読んでいませんが大変面白く、社内に在籍している、プロとしての翻訳経験のある方たちともぜひ感想を共有したいです。

残念ながら邦訳は出版されていないので英語版を電子書籍で読んでいるのですが、これも良い機会と思い、機械翻訳を使いながら読んでいます。たまにおかしな翻訳結果になって原文に戻りたくはなるものの、今のところ挫折せずに読めているのは、間違いなく機械翻訳のおかげです。

おわりに

主にアドベントカレンダー向けに思いつきで出した企画だったのですが、書いてみるとここで紹介しきれない本や、内省が深まりすぎて公開を控えた話など、色々出てきました。

来年もぜひやりたいと思います。その時には今より成長できてるといいなあ。

*1:引用ついでに改めて入社エントリを読み直してみましたが、今でも大体同じ気持ちでいられているのは本当にありがたいことだと思っています。

*2:もちろん全く無い訳ではなく、例えばプロダクトマネジメントのすべて 事業戦略・IT開発・UXデザイン・マーケティングからチーム・組織運営までの中でも言及があります。